日本ライフマイスター協会 5ライフマイスターブログ

日本ライフマイスター協会の5ライフマイスターが「介護」「がん」「子育て」「年金」「健康」に関する情報発信をする公式ブログです。

「5ライフマイスター制度」とは、国民の重大課題である「介護」、「がん」、「子育て」、「年金」、「健康」の5つに焦点を絞り、個々人それぞれで違う悩みや疑問に寄り添い、ともに解決の糸口を探ることのできる認定資格制度です。

仕事と介護を両立させるということ②~介護離職ゼロの実現~

こんにちは。一般社団法人日本ライフマイスター協会の藪内です。
前回は、介護離職が今後増加する原因についてお伝えしました。
では、仕事と介護を両立させるには、企業は、就労者はどうすればいいのでしょうか。

企業の両立支援の課題を立てるうえで大切なのは、介護世代の人々が介護についてどう思っているかを知ることです。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」によると、仕事と介護の両立について、40代・50代の正社員に尋ねてみたところ、「非常に不安を感じている」「不安を感じている」人は、男性で72.1%、女性で77.2%という結果でした。働き盛り世代のほとんどが不安を感じているのです。
さらに、介護を機とした離職者では、男女ともに8割強が「非常に不安を感じていた」「不安を感じていた」と回答しています。

不安を感じている人の具体的な不安内容をみると、
1.自分の仕事を代わってくれる人がいないこと
2.介護休業制度等の両立支援制度を利用すると収入が減ること
3.介護休業制度等の両立支援制度がないこと
4.介護サービスや施設の利用方法がわからないこと
5.どのように両立支援制度と介護サービスを組み合わせれば良いかわからないこと
という結果が出ています。

このことから、
・両立支援制度がないことで離職者が増えてしまっている
・あっても両立支援制度が上手に活用されていない
・現時点では企業の両立支援制度モデルがないため、自分事のように考えておらず効果的な運用がされていない
ことが考えられます。

前回の投稿で記載しましたが、介護離職をした人たちは、本当は「働き続けたかった」のです。
ですが、「自分の仕事を代わってくれる人がいない」ことで介護と仕事の板挟みに合い、仕方なく離職してしまうという人が多いと考えられます。

残念ながら、現時点での企業は、両立支援に関して消極的であると言えます。
「介護を抱える従業員がいるかどうかの実態把握状況」から見ると「特に把握していない」が46.4%と、約半数なのです。

企業が両立支援について他人事と考えているうちは、体制が整えられず、就労者に周知もされません。
ですから、就労者は介護に直面しても、企業に相談もできないままに退職を余儀なくされるという悪循環に陥っているのです。

企業側は次の課題に取り組み、両立支援体制を早急に整備しなければなりません。
・ 就労者の介護に対するニーズの把握
・ 介護を抱えるまたは介護が予想される就労者の実態把握
・ 業務内容のシェア、仕事の分担などができるような職場づくり
・ 両立支援制度の確立と周知

両立支援体制を整えておけば、就労者が介護に直面しても安心して働き続けることができます。
また、就労者が介護休業などを取得した場合に、国から助成金を受けることも可能です。

介護はプロの事業者にお任せし、家族は介護休業などを利用して、介護の環境を整え、心の繋がりを大切にすることが必要なのです。
また、行政手続きを行うことで、受けられる軽減制度があっても、それを知らず、誰にも教えてもらえず、余分な費用を払っている人が非常に多いことも問題です。
そのためには、介護保険制度のについて、企業も従業員も理解していくことが早急に求められます。

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仕事と介護を両立させるということ①~介護離職増加の原因~

こんにちは。一般社団法人日本ライフマイスター協会の藪内です。
セミナーや研修で、受講者に「2025年問題」について尋ねることがあります。
実のところ、「2025年問題という言葉は聞いたことがあるが、内容はよくわからない」のが現状なのです。

平成27年度介護保険事業状況報告(年報)によると、65歳から75歳までの要介護認定率は約5%です。
ところが、75歳以上の要介護認定率は約33%になります。
つまり、後期高齢者になると、介護を必要とする可能性が急激に高くなるということです。

このため、「団塊の世代が2025年頃までに75歳以上の後期高齢者となるために、介護・医療費など社会保障費の急増が懸念される問題」を2025年問題と言われています。

さらに、団塊の世代を親に持つ働き盛り世代の介護離職が激増することも懸念されています。
その理由は3つ考えられます。

1つ目は、大切な家族のため、自分が介護しなければならないという責任感です。
「施設に預けるのは申し訳ない」
「働いている間が心配で仕事が手につかない」
「一人っ子のため頼れる親族がいない」
そんな声をよく聞きます。

2つ目は、介護サービス費用の負担を減らすために、自分が介護しなければならないという金銭問題です。
家族が安心して仕事ができるほどの介護サービスには想像以上の費用がかかります。
利用者が介護費用を捻出できなければ、家族が手を出すかお金を出すかしなければならず、退職を選択する人が少なくありません。

そして3つ目は、仕事と介護の両立が難しいという職場環境です。
「介護休業の制度はあるが、利用の仕方がわからない」
「介護休業を取得した職員がいないため、言い出しにくい」
「人事労務担当者に介護の話が通じない」
従業員はそんな悩みを抱えています。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」によると、現に、介護を機に離職をした理由の上位は、
1.仕事と介護の両立が難しい職場だったため
2.自分の心身の健康状態が悪化したため
3.自身の希望として介護に専念したかったため
4.施設へ入所できず介護の負担が増えたため
5.自分自身で介護するとサービスなどの利用料を軽減できるため
です。

ですが、介護を機に仕事をやめた時、仕事を「続けたかった」と回答した離職者は、男性56.0%、女性55.7%と、過半数が働き続けたかったのです。
さらに、離職後、「負担が増した」としている人は、「精神面」について64.9%、「肉体面」について56.6%、「経済面」について74.9%であり、いずれも負担が減るのではなく、むしろ増したとの回答割合が高くなっているのです。

継続的に介護を行うためには、経済的な負担がかかります。
介護が終了した後の生活を視野に入れて考えても、経済的基盤は重要です。
また、社会との繋がりが断たれ、介護を抱え込んでしまうことで、心身ともに追い込まれていく恐れがあります。

企業においても、大切な従業員を介護のために失うことは大きな損失であり、企業の持続的な発展に影響が出てくることになるのです。

では、仕事と介護を両立させるためには、どうすればよいでしょうか。
次回はそんなお話をします。

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成年後見制度を知っていますか?②

こんにちは。一般社団法人日本ライフマイスター協会の藪内です。

任意後見制度とは

現在は判断能力のある人が、将来認知症などで判断能力が衰えたときに、財産管理や身上監護に関する法律行為を本人に代わって行う人(任意後見受任者)をあらかじめ自分自身で決めておく制度です。
本人の判断能力が十分でなくなったときには、本人や任意後見受任者等が家庭裁判所に申立てをし、家庭裁判所が任意後見監督人を選任します。
このときから、任意後見受任者は正式に任意後見人となり、本人の財産管理や身上監護を行っていきます。

利用の仕方

1.本人と任意後見受任者(任意後見を依頼された人)が任意後見の内容(どのようなサポートをするかなど)を話し合います。
2.本人と任意後見受任者が公証役場で、公正証書を作成し、正式に契約を交わします。
3.本人の判断能力が十分でなくなったとき、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てをします。
4.家庭裁判所で任意後見監督人を選任し、任意後見受任者は正式に任意後見人となり、任意後見監督人の下で契約内容に従って本人を保護・支援します。

任意後見監督人選任の申立てのできる人

本人、配偶者、4親等内の親族、任意後見受任者
※申立てに必要な書類については、申立てをする家庭裁判所にご確認ください。

後見制度利用の費用

≪法定後見制度≫
収入印紙、登記印紙、郵便切手など裁判所に審判を請求する手数料で約1万円が必要となる他、利用者本人の判断能力を確認するための医師の鑑定や診断などで、約5万円~20万円必要となる場合があります。
また、後見等が開始されれば、本人の支払い能力に応じて妥当な報酬を家庭裁判所が審判により決定します。なお、市区町村長が申立人でその利用者が低所得者のとき、自治体によっては、補助を受けられる場合もあります。

≪任意後見制度≫
任意後見受任者は、本人との契約により報酬が決められます。任意後見監督人選任の申立てには、収入印紙、登記印紙、郵便切手などの費用がかかります。任意後見監督人の報酬額は、本人の資力等に応じて家庭裁判所が審判により決定します。

相談できるところ

・お住まいの市区町村の担当課
・地域包括支援センター
・家庭裁判所
・公証役場(任意後見制度)
・弁護士会
・成年後見センター
など

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プロフィール
◇藪内 祐子◇
日本ライフマイスター協会 大阪支部資格推進担当/5ライフマイスター
中核市にて年金行政に4年、健康保険組合に4年、介護保険行政に10年携わった経験を活かし、ライフマイスターとして相談支援に務める。三児の母としても日々奮闘中。
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